作り手の想いが宿るだけでは足りない、という話

これまでのこと

こんにちは、Indigoディレクターの菊池です。

Indigoは個人のかた向けにオーダー家具を提供するだけでなく、店舗の内装や什器もお手伝いしていますから、必然的に沖縄県内はもちろん、県外、あるいは海外でも気になるお店には足を運ぶようにしています。そう、だから雰囲気の良いカフェで美味しいご飯を食べたり、素敵なショップでお買い物するのも仕事の一環なのだ、と公言しています(まぁ、公私混同ではあります・笑)。

さて、前回まではインターネット上でIndigoを「どう存在させるか=家具屋としての認識をどう作っていくか」と、そもそも「どうやってIndigoのサイト(ホームページ)」に人を集めるかで、知恵をうんうん絞りつつ、チームワークの素地を作っていきましたよ、という話をしました。

その中で、「どうしてIndigoのホームページにたどり着いたのか、なぜオーダーをしてくださったのか」ということを、ずいぶんとお客様にヒアリングさせていただいた、というお話をしました。今回お話したいのはその続き。

当時、わたしたちとしては「なぜ、お客様はIndigoに家具をオーダーしてくださったのか」の答えは非常に知りたいことでしたが、同時に「それだけでは十分ではない」と思っていました。もうひとつ知りたいこと、「納品された家具に対して、満足してくださっているのか、あるいは、納品された家具は、その後、お客様のおうちでどのように使われているのか」ということについても、学ぶべきだと考えていたのです。なぜなら、家具というのは、消費財ではなく、資産ともいえるものですし、「納品して終わり」ではなく、オーダーまでしていいただいて購入されたものだから、ちゃんと「思ったとおり」の働きをお客さまのおうちで果たしているのか、非常に興味がありました。

そこで行なったのか、納品先のお客様の「お宅訪問」企画。実際にWEBや、告知冊子の中で紹介するために、納品先のお客様にどんな願いを叶えたくて、既製品ではなくオーダー家具を選んだのか、出来ていく過程での楽しみ、納品された家具についての感想などをうかがうため、各ご家庭、お店を取材訪問させていただいたのです。

これは今でもIndigoの習慣として残っておりますし、現在のサイトはほぼ、納品したお客様のおうちやお店のビジュアルになっていることからもわかるとおり、私たちのアイデンティティとなる、重要なプロセスでした。

なぜって結論から書きますと、家具は「お客様に使われて初めて、『オーダーの理由』となった役割を果たし、そこで完成する」ということをリアルに私たちに感じさせてくれた機会になったからです。取材先で伺う様々なお話の中で、「どうしてその家具が必要だったのか、既製品では叶えられなかった希望とはどんなものだったのか、世界でたったひとつ、自分のための家具に込めた期待はどういうものだったのか」をお客様の言葉であらためて伺うことができました。

私たちはそこで、私たちの提供している「オーダー家具」というものが宿している価値の本質を理解したように思います。

既製品の家具というのは、ある程度のお客さんのニーズをすくい上げたものであるにせよ、どうしてもその価値は「公約数」であることには間違いありません。「公約数」の価値に、作り手の提案、意図が加算されて、合わさった全部の価値を見て、購入するかを決めるものです。

それに対し、私たちの「オーダー家具」というものには、その原点に個々人の「こういった生活がしたい」という想いがあるということを、あらためてこの取材を通して理解したのです。まさに「家具屋として見られたい一心で作ったプロモーション」の先に「ただの家具屋ではなく、オーダー家具屋であるということのアイデンティティをはっきりと見出した一件でした。

作り手が丁寧に作る、使う人の使いやすさに想いを寄せるということは、プロダクトにおいてはいわば「当たり前のこと」です。それに加えて、私たちは「そもそもこの家具が誰が、どんな暮らしを実現したくてオーダーしてくださった家具なのか」という確かな拠り所を元に作っているものなのだ、ということに重きを置いているのです。そこが私たちの誇りになっているとも言えます。

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